繊細で柔らかな感覚

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今日のお茶菓子は焼き芋と、カットフルーツ。

■17.07.05(水)心理
■繊細で柔らかな感覚

師匠に差し出すと、物々交換の誘いを受ける。
枝豆の冷製スープ、それに、カツサンドを半分いかが?と。

おぅ……思わずカツサンドと見つめ合う。
この、揚げた小麦粉と焼いた小麦粉の“小麦粉 with 小麦粉”。小麦粉同士が手に手を取って踊って魅せる見事なコラボレーション。人間の小麦粉に対する偏愛が生み出した華麗なるマリアージュ。
あまりの溺愛、漂う“ふたりだけの世界”感が恥ずかしかったのか、申し訳程度に蛋白質をサンドして罪悪感をちょっぴり軽減するしおらしさ。

まー、小麦粉だけどな。

頂きます、と手を伸ばしてかじりつつ思う。
師匠はなんだかんだ、いつも私に必要なモノを持ってきてくださる。
白と茶色の糖質の塊。それを欲する意味は、基礎の部分の愛情饑餓。
変化がデカすぎて危うい状態だって自覚は、持っといたほうがいいらしい。そりゃそーだな。自己分析と合致するので、エラー検知は大丈夫そう。安心した。

ここ2ヶ月ほどのお話。とつとつと思い出しながら話し、笑い、ときに涙し。いつも通り。
いろいろあったが、自分の中でケリはついている感覚がする。それでも残っている思うところは、これからにぶつける。だからいい。

そしてこれからの話。
心理の師匠は独立の先輩でもある。安定した看護師の職業から、カウンセラー、セラピストへ。

師匠は天職ですよね……と漏らすと、師匠の目が驚愕で見開かれる。

「初めて言われました。天職ですか……」

え? そんな変なこと言いましたか?

「悪いことは一通りしてきてますからね……未だにお酒は飲むしタバコも吸うし。若かりし頃は……」

極めつけのお話は存じ上げず、絶句し爆笑。そんなご経験までおありでしたか。
私が師匠を初めて知ったのはそれこそ20年近く前。初めてお会いしたのは7,8年前……格闘技を始めるより遥か前なのだが。どうも私は、アウトサイダーな方に惹かれる傾向が強いらしい。

たぶんそんな師匠の言葉でなければ、私には響かなかった。
綺麗ごとだけの方を見ると、”見たくないものからは目をそらしてきたのだろうな”とつい思ってしまうから。

「そういう方も少なくはないですね。目をそらしたまま生きていくこともできますから。」

ですね。けどそれでは、弱すぎて脆い。

「どんなにお金があっても、享楽的に過ごすことができても、”これは私のものじゃない”と思うと結局は虚しくなったんですよ。
そして病院に戻ったとき、働く方々を見て”ああ、生きてるんだな”と思いました。」

「今は、ポテトチップスについてるプロ野球カード。
使い込まれたギターのピック。
そんな些細なものが、私にとっては宝物なんです。

そしてそれを、誰かに理解されたいとも思わない。」

そういえば……
私も少し、減ったかもしれない。
自分を理解されたい、自分の正しさを証明したいって、抑えきれない衝動が。
いや、それもまだまだあって人より多いんだけど。

……でも、繊細で、柔らかい感覚は、私だけが知っていればいい。
語る言葉を、私は持たない。

そういうことなのかな。と、いくつかの出来事に想いを馳せる。
それでも私は、言葉にするんだけど。せずにはいられない。
とはいえさすがに少し、疲れたかもしれない。

ここ数週間は頑張りすぎました。
ほんとは格闘技が絡まなかったら家を出ないし、人と絡みにいかないのに。

「それはそうですよ。
日常の些細な出来事で充分、胸いっぱいになりますもの。

くれさんがくださったこの小さなブーケ。
これだけで私は2000文字、余裕で書けます。」

はたと気付く。
私も会社の人たちと近場のランチ行くだけで、余裕で2000文字書けたものな。

「わざわざ出かけるだなんて刺激が強すぎます。
今日も夜に断り切れない飲みの誘いがあるんですが憂鬱です。」

わかります。大人数の飲み会はわけわからなくなりますね。
飲み会でそれだと、旅行とかもう。特に海外に進んでいく方々のバイタリティには頭が下がります。
南中したときの太陽の角度が違うってどうしたらいいんですかね。

「あーもうダメです。天地がいつもと違うだなんて。
そんなことが起こった日にはこうですよ。」

師匠の身体がずり下がる。
椅子からだらんと身体が落ちかけて顔がうつろになる。
目が白目をむいて口があき……

師匠! それアカンやつです!!
口から魂でちゃってます、仕舞って仕舞って!!

居住まいを正す師匠。

「私も引きこもりです。
引きこもり万歳ですよ。」

力強く言い捨てる師匠の言葉に勇気がわく。
なるほどです。なんでもかんでもいけばいいってもんじゃないですね。これでいいんだ。

自分の在り方次第で、たった1本の花が、世界を変える意味を持つ。
たった1杯の水が、極上の味に変わる。
ひとつの言葉それだけで、涙が零れる。支えになる。

日常は既に眩しいくらいの刺激で満ち溢れている。
世界は、美しい。

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