たったひとつの、果実を

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容赦のない話をいくつも披露されて唸り、高まったベンチプレスの負荷をきっちりやっつけたその後に。

17.06.17(土)【GSA】パーソナルトレーニング(加圧0.5h):上田さん

腹筋中。ふと上田さんの声音と目が、改まる。

「自分の中にひとつ、果実を育てて実らせてください。」

え? 寓話……?
なんだろう。すごく大切なお話の気がする。

「自分の中の土壌を耕し、丁寧に育てるんです。
育てるのはとても大変です。
幾種類も樹木があったとしても、育つのは1種類だけでしょう。」

腹筋がツラい、が、お話、も、トレーニング、も、大、事……ふぅ。

1種類だけ、なんですか? 複数は、育たないんですか?

「そうですね……2種類として確率的には100×100……1万人に1人いるかいないかでしょう。」

つまり、実るほどに果実が育つ確率は1%か……?

「なのできっと、果実は1種類しか育ちません。
1種類だけじゃ足りないと思うでしょう。でも心配いりません。

実った果実は、人と交換することができます。

物々交換で手に入れるか、もしくは、自分の時間を切り売りすることで、手に入れられます。」

………えーと、この話、は……
とすると、『果実』と例えられているのは、『お金を手に入れられるレベルに達した、何某かのスキル』、か……?

これは……この話は……サラリーマン辞めて、独立しようとしてる私への、はなむけのお話、か……

「確かに実らせられなくても果実は手に入る。
でもそれは、とても効率が悪いんです。
時間を対価に、果実を得るよりも。
物々交換をしたほうが、はるかに効率がいいんです。」

その果実を、実らせろ、と。

……エグい話だ。実る確率1%の果実を、実らせろとは。

だがこの話。てことは。
“実らせる目がある”人間にしか、出来ない話だな。
目のない人間にはしないだろう。

私の中の、実るかもしれない果実。それは何か……?

識別するため、知りたいことは、なんだ?
そう……目には見えない、果実……なら……

果実が実った、と、どうしたら判断つきますか?
えーと、その果実が実際に売れたら?

上田さんが思案する。

「そうですね……これはあくまで自分の基準ですが……

『知らない人から、その果実が欲しい』

と声がかかったら、です。」

なるほど……直接の知り合いは、ご祝儀で依頼される可能性も高い。
それでは果実の真価は識別できない。

「知り合いの知り合いは、知らない人ですよ。」

ふむ、“あの果実は美味しい”“他では手に入らない”と、評判がそこまで届いたら、か。そしてわざわざ買いに来てくれたら。確かにそれは、価値がある。
うん……うん。
なんとなく、自分の中にタネが埋まった感触がある。
面白い……そして、ありがたい。

ひとつしかないのなら。おそらく私の果実……
“書くこと”だろう。”システム屋”では、ない。

システム屋として仕事が来るのは、おそらく知り合いレベル止まり。それも自ら行商に相当出ねば……十何年もかけて育てて、ここ止まり。
書くスキルはほったらかしで節操なく垂れ流してただけで現状の評価。もしこれを本気で育てに行ったら。

育ちやすいのはどっちだ?
売りやすいのは?

明らかに、書くスキルだ。

上田さんも、そう鑑定している、と確信がある……
私が気付く、はるか以前からそう見ていたんじゃないか……そんな気がする。
私がようやく自覚したから、そして時間を切り売りするのに見切りをつけたから、この話をしてくださった。
そんな気がする。

私の”書くスキル”は、格闘技を始めなかったら真価を発揮できず、埋もれて腐って終わった。
私が気付いてなかったから。
書き出して2年以上経ち、ようやく自覚できた。

どうしてそんなに時間がかかったか?

……”しあわせになる能力”が、足りなかったから、だ……。
気付けず、私は、機会を失うところだった……

ありがたいことだな。私は気付けた。
ならば育てなきゃな。大切に、大切に。
そして実らせ、どんどん改良して、もっともっと瑞々しく、美味しくさせて。
そうだ。実らせることができたら……いつか、単体では育たなかった”システム屋”の樹木を、接ぎ木しても面白いかもしれない。
そうしたら見たことない果実が生まれるかもしれない。

そうして実った果実を振舞うんだ。
お世話になった方々に。大切で大好きな方々に。見守り、気付かせ、剪定方法を教えてくださった方々に。
いただいた果実の、お礼に。

格闘家の方々が命がけで獲ってきちゃう果実。私にあれは出来ない。
でも獲りに行けない私は、自らの土壌に、育て実らせられるだろうか?
あんなすっごい果実のお礼を、私からしか採れない果実でお返し出来たら……それはなんて、喜ばしいことだろう。

“こんな果実が、実りました!”

そんなふうにお見せできたら。お渡しできたら。
どんな顔を、してくださるだろう。
楽しみなことがまた増えた。

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