超コスパ追求型が生み出す余剰エネルギーの行方

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いつもどおりが1番、落ち着く。

■17.06.26(月)いつものお昼

ふだんは、持ってきたいつものご飯を自席で食べる。ネットで調べものしたり、書き物したり、動画を観たりしながら。
真向いの席は相方さん。ランチも食べず、仕事をしているのを視界に入れつつ、何か急変あったら耳をそばだてる。

いつも食べない相方さんは、ごくまれに買い出しに行き、総菜パンや菓子パンをかじる。ああ今日は落ち着いているようだ、とニンマリする。
だがもちろん栄養状態はとても気になる。めっちゃ気になる。大丈夫なのか、それで。
前に尋ねたことがある。

野菜、食べないんですか?

血相が変わった。

「最近、じゃがいもが不作でスーパーからポテチがなくなってるんですよ!!」

どこからツッコめばいいかわからず、途方に暮れる。

こんな会話も。

「1日1食でよくないですか?」

1食で、何食べてるんですか?

「カロリー高いものを。1食で2000kcalは食べますね。」

1食で……!
でも雑なようでいて、カロリーはある程度把握してるのか。ある意味、ちゃんとしてる。

「だいたい食事って、コスパ悪くないですか?」

顔をしかめて言葉を重ねる。

「食べなくて済むなら機械化したいです。
1000万円で一生食べなくて済むなら払いますね。コスパ絶対いいですよね。」

!!!!

こっこれは……
うちのトレーナーさんとまったく同じ理論……!!

『原子炉を搭載すれば、食事も睡眠もいらないと思うんですよ。早くそうなりませんかね?』

“食事”=”作業” とみなす。
相方さんは質を捨てて完全に作業の手を抜く。
トレーナーさんは質を追求して手順を突き詰め自動化する。
どちらも、“食事にかけるコスト”を最低限度まで減らせるなら人間捨てちゃえる思考回路。

そうしてみると……これは……出てくる方向性が真逆だが、思考は一緒だったのか……
この人たち、実はソックリだったのか!!

愕然。共に働き続けて1年、気付かなかった。
なんてこった……どうやら私はここ2年ほど、超コスパ追求型タイプにエラいお世話になりっぱなしらしい。

衝撃を追い払い、思考を元に戻す。

うーん……コスパ追求は(百歩譲って)わからないでもないですが……
それ、楽しいんですか? コスパ追求して、食を削り、他のモノも削っていった先に、何が残るんですか?

一瞬、まじまじと見つめられ、盛大にため息をつき、嘆かれる。

「久禮さんがそんなこと言う人だと思わなかったなぁ。久禮さん、ヒドいなぁ。」

えええええちょっと待ってくださいどうしてーーー!?

“あーあ、久禮さんがそんなこと言うなんて”と繰り返し嘆かれて、ぎょっ!?と泡食ってる間に別の話にすりかえられてほっとする……

そうして気付く。
あー……素朴な疑問でつい論破。そんなときの反応も基本、一緒だ。
トレーナーさんだと……

『なるほど、そう来ましたか。ですが別に負けたわけではありませんよ? ここはひとつ引き分けとしましょう。』

ブツブツ言って話題を変える……

トレーナーさんみたいに、根に持たれるかしら??
“江戸の敵を長崎で討つ”的な仕打ちをこの先受けたりして……そう、朝会の発表をキラーパスで回そうとしたり……?

戦々恐々とするが、本気でヒドいことしないしな、とも思う。どちらかというと、むしろ……

そう。
トレーナーさんはコスパを優先して得た余剰エネルギーを”人生かけて表現したいモノ”にツッコめと言う。
あそこで切り返しに詰まった相方さんは……余剰エネルギーを何に使ってる?

お昼も食べず、するのは仕事。
上昇志向も技術追求欲も薄そうな相方さん。
なら働く理由は……?

容赦ないのは、出来ない仕事を受けぬため。受けた仕事は絶対に形にする。
そして理想的なシステム未来図を描いて見せる。
上昇志向薄いのに、技術追求欲も薄いのに、どうしてそこまで?
動機が分からない……責任感、美意識……哲学?
人間、それだけであんなに背負い、働けるんだろうか。謎なのだが……

どうにも私の目に映る相方さんは、容赦ないように見えて、誰よりも優しい人に見えてならない。
一番難題の案件。私が切らねばダメだ、と私の手で切った。
それを知り、肩の荷が降りて笑顔がはじけた相方さん。自身が切れば早いのに、切れない私を尊重した。
でもそもそもどうして、私を切らなかった? 一番早いのは、それでしょう?

切るべきを切れずに足掻く私を、黙認して見守り裏で手を打つのが相方さんだった……

切れずに荒れてグズり、挙げ句、最後に切るのが私。
容赦なく切るのに、最後に切れないのが相方さん。

本当に優しいのは、信頼できるのは、どっちだ?

私に抱えきれない荷物を、いくつも軽々と背負ってくれた。
目にするのを諦めてた景色を、いくつも見せてくれた。
これからの可能性が、力強くこじ開けられるのも見た。

その瞬間を眺め続けたこの1年は、とても、しあわせな日々。
相方さんの行動、判断を信じて支持するのが、この1年の私の仕事と言って過言じゃなかった。
私には容易で、しあわせな仕事。

だから、ひとつだけ、お言葉返しますけど。
ポテチは野菜じゃないですからね。食べてくださいね。野菜と、蛋白質。

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